生命保険の活用で相続対策
2019/07/18
生命保険の活用で、相続で起こりがちな不幸を解決
どんなに仲の良い家族でも、 いざ、遺産を分割しようという時には、 意外にも揉めてしまうものです。 遺産の大小に関わらず。 特に、分けにくい「不動産」がある場合などは よくあることです。 また、「現金(預貯金)」の場合は、 税金も高い上に口座が凍結されてすぐに引き出せないなど、 不便もあります。 そこで、そんな問題を解決するひとつの対策として 生命保険が役に立ちます。
高齢だし、病気をしたことがあるから、 保険なんて入れない。と、思い込んでいる方が多いのですが、 告知不要で健康状態にかかわらず入れる保険もあります。
相続「3つの対策」
① 納税資金対策(流動性資金の確保)
相続時、お金はすぐに引き出せない場合が多いです。一方、葬儀費用や当面の生活資金などすぐに使えるお金が必要になります。また、相続税は相続が発生してから10ヶ月以内に現金で納税するのが一般的です。課税される不動産を所有している場合は、納税するために現金の用意も必要です。
② 相続税対策(相続財産の評価を下げる)
基礎控除を超える分に対しては原則、納税が発生します。相続税は財産が多いほど税率が上がる仕組みです。(累進課税といいます。)税率が必要以上に高くならないよう、相続財産を減らす工夫をしたり、不動産なら活用するなどして、財産の評価を適正にすることが必要です。
③ 分割対策(受け渡す人を明確にする)
仮に相続税が発生しなくても、財産があれば相続することになります。財産をどのように分けるか、のこされた方(相続人)同士で話し合って決めることになります(遺産分割協議)が、うまくいかない場合が増えています。受け取る方が財産の分け方で揉めることがないように、十分な対策が必要です。
生命保険が相続の対策に役立つ2つの理由
理由1。
死亡保険金は、受取人固有の財産になる、ということ。 死亡保険金はみなし相続財産であるため、財産分割から外されます。 そのため、受取人の財産として現金で残すことができます。
理由2。
死亡保険金には、非課税枠がある、ということ。 死亡保険金は、500万円 ✖ 相続人数 が非課税となります。 たとえば、相続人が3人いる場合、1500万円までは非課税になります。
相続における生命保険の活用例
① 納税資金対策(流動性資金の確保)
相続税を払えるだけの保障を持つ終身保険を使う。
※保険期間が決まっている定期保険は使ってはいけません。
契約形態としては、契約者および被保険者は親、受取人を子供とする。
② 相続税対策(相続財産の評価を下げる)
贈与税の非課税枠(110万円)を使った生前贈与を使う。
※贈与税は贈与を受けた人に課税される仕組みです。
また、相続人でなくても贈与をすることができるのです。
(例えばお孫さんや息子さんのお嫁さん等)。
贈与を受けた人が年金保険など貯蓄性の保険契約をすることで、
ここでも生命保険のメリットが享受できます。
※生命保険料控除の適用、満期金などを受け取った時の税効果
(一時所得または雑所得)等。
一時払い系の終身保険を使う。
現金を保険の形にすることで財産評価を下げ、さらに生命保険のメリットが享受できます。
現金資産をお持ちの方に特に有効です。
たとえば、1億円現金があったときに、4千万円を一時払い系の終身保険にすれば、財産は6千万円。4千万円は死亡時にすみやかに支払われ現金化でき、凍結されることもありません。
さらに、外貨建てなどにしておくことで現金預金よりはるかに増やすことができる可能性もあります。
③ 分割対策(受け渡す人を明確にする)
主な財産が不動産の場合、不動産を引き継ぐ人が代償分割を行うために終身保険を使う。
※死亡保険金の受取人は不動産を引き継ぐ一人にします。
死亡保険金を按分してはいけません。
遺留分減殺請求(法律上もらえるべき財産の半分)に備え、終身保険を使う。
※財産の分割で揉めないように、あらかじめ終身保険で対策を打っておく。
たとえば、一戸建ての個人住宅を持っている方は、遺留分程度の現金を確保できるようにしておくと安心です。
死亡保険金を(たとえば兄弟3人で)按分すると、被相続人の財産ではなく受取人固有の財産になるので、代償分割は必ず不動産を引き継ぐ人(仮に長男)から、他の2人に現金を渡すことが大切です。